「セットに付いてた弦って、いつまで使えるの?」「次は何を選べばいいの?」
ベースを始めて数ヶ月、最初の壁の一つが弦選びです。SERP上位の記事を見ても10本、20本と紹介されていて、どれを選べばいいか余計に迷うかもしれません。
結論を先に言います。最初の張り替えは、ダダリオ/アーニーボール/エリクサーの3本から選べば失敗しません。
私はベース歴14年、安い弦を月10回張り替えていた時期もあれば、1年以上同じ弦で過ごしていた時期もあります。重要なのは「何ヶ月で交換するか」ではなく、「弦の状態を見て判断できるか」。
本記事では、SERP上位9記事すべてで推奨される業界鉄板3本を、私自身の使用経験を交えて二段構えでお伝えします。
1. セットに付属していた弦の特徴と限界
初心者ベースセットに付属している弦は、「最低限の演奏を保証するためのもの」と考えてください。
セットを構成する側からすると、本体・アンプ・チューナー・ストラップ・ケーブル・スタンド・ケース・教則本などをすべて含めて販売価格に収める必要があります。当然、各パーツのコストが圧縮されます。弦も例外ではなく、メーカー指定の高級弦が張られていることはほぼありません。
その結果、次の特徴が出てきます:
- 音の輪郭が早めにぼやける:高級弦と比べて、購入から数ヶ月で「鳴り」が落ちる
- 指への引っかかり感が出やすい:巻線の精度が低めで、長く弾くと指の滑りが悪くなる
- 長期保管に弱い:購入後、店頭で展示されていた期間も含めれば、新品セットでもすでに弦は「新品状態」ではない可能性がある
記事1「ベース 初心者 セット 失敗しない選び方」で書いた通り、セットの本体は¥3万円台で十分に「ちゃんとした楽器」になっています。だからこそ、弦だけは早めに自分で選び直すことで、楽器の本来のポテンシャルが引き出せます。
「セット購入から3〜6ヶ月で張り替えを検討」が一般的な目安ですが、これはあくまで目安。本質は『状態判断』で、§5 で詳しく解説します。

2. 弦を替えると何が変わるか
「弦なんてそんなに変わるの?」と思うかもしれません。実際に張り替えてみると、初心者でもはっきり分かるレベルで変わります。
私自身、初心者セットに付いてきた弦から定番弦(ダダリオやアーニーボール)に張り替えた経験があります。Before / After で感じた変化を整理します。
サウンド面:
– 鳴りが「ぼんやり」から「はっきり」に変わる
– 低域の輪郭がタイトになり、ベースラインが聞こえやすくなる
– サスティーン(音の伸び)が伸びる
弾きやすさ:
– 巻線の精度が高く、指の引っかかりが減る
– テンションのバランスが整い、フレットを押さえる力が安定する
– スライドやハンマリングのレスポンスが向上する
寿命:
– 同じ価格帯でも、ブランド・モデル差で 倍以上の寿命差 がある
– コーティング弦になるとさらに延びる(後述)
「楽器の音が変わった」のではなく、楽器の本来の音が初めて聞こえた、と感じる人が多いです。これは初心者の段階で体験する価値のある変化です。

3. 弦選びの最小限知識(読み飛ばさないでOK)
3本紹介の前に、最小限の知識だけ押さえておくと選びやすくなります。3つの軸だけ理解すれば十分です。
① ゲージ(弦の太さ)
- ライト(45-100 / 45-105): 初心者の標準。指が痛くなりにくい
- ミディアム(50-105 / 50-110): 中級者向け。低音の鳴りが厚くなる
- ヘビー(55-110+): スラップやダウンチューニング派向け
初心者は迷わずライト(45-105 表記)を選んでください。本記事で紹介する3本もすべてライトゲージ前提です。
② 素材
- ニッケル: バランス型。クリアで温かい音。初心者の標準
- ステンレス: ブライトでパンチが強い。ロック・スラップ派向け
- コーティング: ニッケル等の上にポリマー皮膜。寿命が延びる(後述)
初心者は迷わずニッケルでOKです。
③ スケール
- ロング: 34インチ。ほぼすべての一般的なベース(Squier、YAMAHA、Bacchus、Fender 等)はロング
- ミディアム / ショート: 短めのスケールのベース専用。間違えると張れません
初心者の99%はロングスケールでOK。ご自身のベースに付いてきた弦の表記、あるいはメーカーサイトでスケール長を一度確認しておくと安心です。
結論:迷ったら ライト・ニッケル・ロング を選べばOK
これだけ覚えていれば、後は「どのブランドにするか」だけの問題になります。

4. 初心者の最初の3本【決断型】
以下の3本は SERP上位9記事すべてで推奨される業界鉄板 です。私自身、すべてに張替え経験があり、ロック/POPSを中心に長く使ってきました。各製品の説明は「業界一般論」と「私の一次経験」を二段構えでお伝えします。
① D’Addario(ダダリオ)EXL165 — 最初の鉄板
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メーカー | 米国・業界最大手のひとつ |
| 素材 | ニッケルメッキスチール × ハイカーボンスチールコア |
| ゲージ | 45-105(カスタムライト) |
| 価格 | ¥3,160(サウンドハウス、2026-06時点) |
メーカー公式の音の特徴:「クリアな基音/タイトでブーミーな低域」「業界標準(industry standard)のエレキベース弦」と謳われています。
推奨層:「全ジャンル対応、迷ったらコレ」
私の一次経験:
ロック/POPSを中心に長期間使ってきました。音のバランスが取りやすく、特定ジャンルに偏らないのが最大の強み。「ベース弦のニッケル基準音はこれ」と思って間違いない1本です。初心者の最初の張り替えに迷ったら、まずこれを試してみてください。
※ Squier Affinity / YAMAHA TRBX174 / Bacchus BJB-1R などの初心者セットすべてと相性が良いです。
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② Ernie Ball(アーニーボール)2832 Regular Slinky Bass — ロック・POPS向き
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メーカー | 米国 |
| 素材 | ニッケルメッキスチール × スズメッキ六角スチールコア |
| ゲージ | 50-105(レギュラー) |
| 価格 | ¥2,430〜¥2,540(サウンドハウス、2026-06時点) |
メーカー公式の音の特徴:「ブライト・articulate(明瞭)・パンチがある(serious punch)」と謳われています。
推奨層:「ロック・POPS志向、ベーシストに人気No.1」
私の一次経験:
ロック/POPSを中心に弾く私にとって、明るく抜けの良い音が出るのが最大の魅力です。ピック弾き、指弾きどちらでも音の輪郭がはっきり出るため、バンドアンサンブルで埋もれにくい。D’Addario との二大鉄板で、ベーシストの間で人気No.1クラスのブランドです。
価格も¥2,500前後と手頃で、初心者の「何度か試して好みを確かめる」用途にも最適です。
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③ Elixir(エリクサー)NANOWEB #14077 — 長寿命派・コーティング弦
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メーカー | 米国(W.L. Gore & Associates 系) |
| 素材 | ニッケルメッキスチール + NANOWEB ポリマーコーティング |
| ゲージ | 45-105(Light/Medium) |
| 価格 | ¥12,100(サウンドハウス、2026-06時点) |
メーカー公式の音の特徴:「アウトオブボックスのトーンが他ブランドより長く持つ(extended tone life)」「巻線の隙間まで保護し汗・皮脂・汚れによる劣化を防ぐ」と謳われています。サウンドハウス商品説明では「通常弦の3〜5倍の寿命」と紹介されています。
推奨層:「演奏頻度が低い人・長期保管派」
私の一次経験(正直レビュー):
ここは少し詳しく書きます。Elixir は SERP 上位記事のほぼすべてで「寿命3〜5倍」と紹介されますが、私が長期間使った実感は少し違います。
- 日常的に毎日弾く場合は、公称ほどの寿命差は実感薄い:演奏を続けるとコーティングが少しずつ剥がれていき、通常弦と同様に経年劣化していく印象でした
- 副作用:コーティングの影響でアースが取れず、ホワイトノイズが発生する経験もありました(個体差・環境差の可能性もありますが、注意点として明記しておきます)
- 公称通りの恩恵が得られる条件:演奏頻度が低い人や長期間保管する人。湿気・汗による劣化を防ぐコーティングの本領は「弾かない時間が長い場合」に最大化されます
つまり、毎日たくさん弾く初心者にとっては、価格を考えると無理に Elixir を選ぶ必要はありません。逆に、「弾く時間が限定的だけど常に良い状態を保ちたい」「弦交換が面倒で頻度を減らしたい」という方には大きな価値があります。
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補足:低予算なら PLAYTECH EBS-45105
「3本も試す予算がない」「まずは練習用に1本」という方には、サウンドハウスの自社ブランド PLAYTECH も選択肢に入ります。
- 価格:¥1,000前後(サウンドハウス公式の現在価格は要確認)
- 素材:ニッケル、45-105
- 位置付け:練習用・複数本ストック・コスパ最優先
業界鉄板3本と比べると、品質に多少のばらつきがある印象です(私はチューナーで PLAYTECH 製品を試した経験があり、KORG など他社製と比べて反応速度・精度に不満があり乗り換えました)。ただし、弦は消耗品。1本¥1,000前後で試せる選択肢として、「鉄板を試す前のお試し」「練習中の予備」用途には十分です。
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5. 張替えタイミングの見分け方【状態判断が正解】
冒頭で書いた通り、私はベース歴14年で安い弦を月10回張り替えた時期もあれば、1年以上同じ弦で過ごした時期もあります。なぜそんなに振れ幅があるかというと、「何ヶ月で交換」より「状態を見て判断」が本質だと考えているからです。
世間の目安では「3〜6ヶ月で交換」「100時間プレイで交換」などと言われますが、これはあくまで参考値。演奏頻度・湿度・汗の量・指の油分・保管環境で寿命は大きく変わります。
ここでは、私が普段チェックしている3つの判定軸を紹介します。
① 視覚チェック
- 巻きの色:購入時の輝きが消え、くすんでいる
- サビ:表面に赤茶色や緑色の点が出ている
- 摩耗:フレットが当たる位置の巻線が削れて、コアが見えている
- 指の汚れ:弦に触れた指が黒くなる(酸化・皮脂・汗の蓄積サイン)
→ このどれか1つでも当てはまれば、即交換推奨
② 聴覚チェック
- アタック音の輪郭がぼやけている
- サスティーン(音の伸び)が短くなった
- ハーモニクスが出にくくなった
→ 「録音して聞き返したら気になる」レベルなら交換推奨
③ 感触チェック
- 指が引っかかる感じがする
- スライドの滑りが悪い
- ピック弾きで音が安定しない
→ 「弾いていてストレスを感じる」なら交換推奨
目安は「3〜6ヶ月」or「100時間」だが…
参考値は持っておいてOKですが、上の3軸でチェックしながら「自分の弦の状態」を観察する習慣を作るのが、長く楽しくベースを続けるコツです。

6. 弦交換の簡易手順
弦交換は「自分でやる」のが基本です。慣れれば15〜20分で終わります。私が普段使っている道具と、初心者向けの手順をまとめます。
必要な道具(私が使っているもの)
① ストリングワインダー+ニッパー一体型:DADDARIO DP0002B Pro-Winder for Bass
– ストリングワインダーとニッパーが一体化したベース専用工具
– これ1本で弦交換が完結します
– 素手でも弦交換はできますが、ペグを何十回も回す必要があり、手への負担を大きく軽減できます
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② クロス:PLAYTECH PTC30
– 楽器を始めた当初は MORRIS のクリーニングクロスを使い、現在は PLAYTECH PTC30 に乗り換えました
– 品質の良いクロスは生地の当たりが柔らかく、楽器表面を傷つけにくい
– 高価なものは不要ですが、最低限の品質は確保したい
– 色は汚れの目立ちにくい暗めがおすすめ(持ち運びで紛失しやすいので、買い替えしやすい価格帯がベスト)
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③ クリップチューナー:TC ELECTRONIC UniTune Clip
– 他のクリップチューナーと比較するとやや高めですが、電子機器は一定程度価格と性能が比例する傾向があります
– KORG や PLAYTECH も試しましたが、反応速度や精度に不満を感じることがありました。このモデルに変えてから快適です
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④ 指板ケア用品:筆者は使っていません
– 過去使ったこともありますが、適量が分からず・オイルの減りも遅く、次第に使わなくなりました
– 指板の乾燥やオイル不足が原因でトラブルになった経験はなく、楽器店メンテで対応で十分というのが私の結論です
1本ずつ vs 一気に外す
ネックへの負担を考えると、1本ずつ交換が安全です。すべての弦を一度に外すと、ネック側のテンション(張力)が急激に変化し、反りの原因になることがあります。
ただし、指板を本格的に掃除したい場合は、すべて外しても問題ありません。その際は、新しい弦を張った後、チューニングを2〜3回繰り返し合わせ直すことで安定させます。
チューニング合わせの注意点
新品の弦は最初の数時間でかなり伸びるため、すぐにピッチが下がります。張った直後は頻繁にチューニングを合わせ直すつもりで、1日くらいは様子を見てください。
詳しい練習メニューは [→ 記事3: ベース 初心者 練習|最初の30日でやるべき5つのこと] で扱う予定です。弦が安定したら、まずはチューニングと簡単なフレーズから始めましょう。
7. よくある質問(FAQ)
Q1. 4弦と5弦で弦は違いますか?
A. はい、違います。5弦ベースには「B弦」が1本追加されているため、専用の5弦セットを購入する必要があります。
私自身、5弦ベース用の弦も購入・張替え経験があります。4弦との主な違いは:
- B弦(最低音弦)の太さ選びが音作りを大きく左右する
- 細め(120 など):明瞭でタイト
- 太め(130-135 など):低音の鳴りが厚い
- 4弦ベース用の弦を5弦ベースに使うことはできません(B弦がない)
- 価格は4弦セットの1.2〜1.5倍が目安
5弦は本記事の対象外ですが、ご紹介した3社(D’Addario / Ernie Ball / Elixir)はすべて5弦版もラインナップしています。
Q2. 安い弦と高い弦、初心者には何が違いますか?
A. 音の輪郭・寿命・指への引っかかり感が違います。
¥500〜¥1,000の格安弦は、新品のうちは普通に弾けますが、寿命が短く、指への引っかかり感が出やすい傾向があります。1〜2回張り替えてみて、¥2,000〜¥3,000帯の鉄板弦と比較してみるのがおすすめです。違いを実感できる範囲で「自分にとっての適正価格」を決めるのが正解です。
Q3. 張り替えは自分でできますか?
A. 慣れれば15〜20分で終わります。最初の1回だけ動画で手順を確認し、その後は自分で。
YouTube などで「ベース 弦交換」と検索すれば、複数の解説動画が出てきます。1回見ながら手を動かせば、2回目以降は迷わずできます。
Q4. コーティング弦は本当に長持ちしますか?
A. 演奏頻度が低い/長期保管派なら公称通り。日常的に毎日弾く方は実感薄めです。
§4 ③ で書いた通り、私の一次経験では、毎日演奏するとコーティングが剥がれてきて、通常弦と同様に経年劣化します。「弾かない時間が長い」「湿度・汗から守りたい」という条件下では真価を発揮します。
Q5. セットに付属していた弦は新品扱いですか?
A. 厳密には「新品」ですが、店頭展示期間や保管期間の影響を受けます。
セット商品は店頭やAmazon倉庫に長期間保管されている場合があり、たとえ封を開けていなくても、製造から年単位で経過していることもあります。弦は空気中の湿気でも徐々に酸化するため、「未使用の新品」と「すぐに張り替えるべき新品」は完全に同じではありません。セット購入から3〜6ヶ月で張替えを検討する理由の1つは、ここにもあります。
8. まとめ|最初の張り替えはこの3本から
長くなりましたが、最初に書いた結論をもう一度。
最初の張り替えで失敗しない3本:
- D’Addario EXL165(¥3,160)— 業界標準・全ジャンル対応・迷ったらコレ
- Ernie Ball 2832 Regular Slinky Bass(¥2,430〜2,540)— ロック・POPS志向に最適
- Elixir NANOWEB #14077(¥12,100)— 長寿命派・コーティング弦(演奏頻度が低い人に)
低予算枠の補足:
– PLAYTECH EBS-45105(¥1,000前後)— 練習用・複数本ストック向け
「失敗しない」決め手は2つです:
- 定番に絞ること:SERP上位9記事すべてが推奨する業界鉄板を選ぶ
- 状態判断できる目を養うこと:「何ヶ月で交換」より「状態を見て判断」
最初の1本を試したら、3〜6ヶ月後に§5 の3つのチェック軸で状態を確認してみてください。「自分の弦の寿命」が見えてきます。
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あわせて読みたい
弦選びの前に「そもそも初心者セットはどう選ぶか」、弦交換後に「最初の30日で何を練習するか」もまとめています。
筆者から最後に:
私は14年、ベースを続けてきました。途中で何度も弦を換え、安い弦・高い弦、ニッケル・ステンレス・コーティング、4弦・5弦と色々試してきました。
結局のところ、「自分の弦の状態を判断できる耳と目」が一番大事だと感じています。最初は鉄板の3本から始めて、半年ほど経ったら自分の弦と向き合ってみてください。少しずつ「あ、もう交換時期かも」「まだ大丈夫」が分かるようになります。
その感覚が育つと、ベースを弾く時間そのものがもっと豊かになりますよ。

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